輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うらみなきさつじん

恨なき殺人

宮島 資夫

線上閱讀宮島 資夫《恨なき殺人(うらみなきさつじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,611 字 · 56 頁

青空文庫

「無罪にはならんでしょうか、喧嘩は向うから売ったんですから」と、役には立たない事と思いながらも、池田はなお巡査に訊いていた。

「兇器を有っていたとすれば、どうですかな、それも裁判の結果でないと解りませんが」

巡査は要領を得ないことを答えてから、

「孫根まではまだ二里の余もありますから、それではもう行くとしましょう」と支度をしはじめた。

「それじゃ萩野君、僕はこれで失敬するからよろしく頼むよ。若し都合では今夜向うに泊っても、よく容子を見て来てくれ給え」と萩野に頼んでから、

「まあ心配しないで、身体を大事にしてい給え、弁護士もつけるから」と松田に別れを告げた。

「どうもいろいろ有り難うございました」と、松田は叮嚀に礼をして出て行った。

「大丈夫です、安心しておいでなさい」と、巡査は一人喜んで、外に出た。

池田は門口に出て、萩野の黒い脚袢と、巡査の白股引に送られて行く松田の姿を、遠く畑の夕もやの中に消えるまで、ジッと見送っていた。が、やがてまた中に入って、新たに酒を飲みはじめた。

彼は一人で盃を手にしながら、落着いて牢獄に行った松田の心を考えていた。そして、友達のために人を殺して牢獄に行く松田には、自分のように生煮えな卑劣から受ける苦痛がないであろうと思った。