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あくにんのむすめ

悪人の娘

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《悪人の娘(あくにんのむすめ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,405 字 · 27 頁

青空文庫

「それがわかって居ながら、なぜお前が保護をしてやらないのだ」

当然の事を一本、鳴海司郎が問い返しますと、乞食は非常にあわてた様子で、

「そ、それが今申し上げたような事情で、私は飛出して助けるどころか、顔を見せることさえ出来ないのです」

「オイオイいい加減にしないか、こう見えても僕は酔ってはいないんだぜ、からかうなら、もう少しお小遣のある時にしてもらおうじゃないか。第一、いくら呑気な人間でも、身投があるかも知れないてんで、橋の上にマゴマゴして居る奴は無いよ、僕が身投と間違えられるか、お巡りさんにとがめられるのが精々だろう、嘘だと思うなら橋詰の交番で聞いて見るがいい」

鳴海の言葉を聞いて、乞食体の男はホッと溜息をもらしました。

「御尤もで御座います、通りすがりの方に、それも、こんな風体の宜しくない私が申したんでは、御信用のないのも決して無理は御座いません。……けれども、私は先刻から、私のような者の言うことを無条件で信用して、差し迫った娘の危難を救って下さるような正直な方が、一人位はあるだろうと、神仏かけて探して居るので御座います。それも、私の空頼みで御座いましょう、いたし方が御座いません」