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おしみなくあいはうばう

惜みなく愛は奪う

有島 武郎

線上閱讀有島 武郎《惜みなく愛は奪う(おしみなくあいはうばう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 頁

青空文庫

四

神を知ったと思っていた私は、神を知ったと思っていたことを知った。私の動乱はそこから芽生えはじめた。その動乱の中を私はそろそろと自分の方へと帰って行った。目指す故郷はいつの間にか遙に距ってしまい、そして私は屡※(二の字点、1-2-22)蹉いたけれども、それでも動乱に動乱を重ねながらそろそろと故郷の方へと帰って行った。

四

長い廻り道。

その長い廻り道を短くするには、自分の生活に対する不満を本当に感ずる外にはない。生老病死の諸苦、性格の欠陥、あらゆる失敗、それを十分に噛みしめて見ればそれでいいのだ。それは然し如何に言説するに易く実現するに難き事柄であろうぞ。私は幾度かかかる悟性の幻覚に迷わされはしなかったか。そしてかかる悟性と見ゆるものが、実際は既定の概念を尺度として測定されたものではなかったか。私は稀にはポーロのようには藻掻いた。然し私のようには藻掻かなかった。親鸞のようには悟った。然し私のようには悟らなかった。それが一体何になろう。これほど体裁のいい外貌と、内容の空虚な実質とを併合した心の状態が外にあろうか。この近道らしい迷路を避けなければならないと知ったのは、長い彷徨を続けた後のことだった。