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おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
線上閱讀有島 武郎《惜みなく愛は奪う(おしみなくあいはうばう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 頁
私は長い廻り道の末に、尋ねあぐねた故郷を私の個性に見出した。この個性は外界によって十重二十重に囲まれているにもかかわらず、個性自身に於て満ち足らねばならぬ。その要求が成就されるまでは絶対に飽きることがない。智的生活はそれを私に満たしてくれたか。満たしてはくれなかった。何故ならば智的生活は何といっても二元の生活であるからだ。そこにはいつでも個性と外界との対立が必要とせられる。私は自然若しくは人に対して或る身構えをせねばならぬ。経験する私と経験を強いる外界とがあって知識は生れ出る。努力せんとする私とその対象たる外界があって道徳は発生する。私が知識そのものではなく道徳そのものではない。それらは私と外界とを合理的に繋ぐ橋梁に過ぎない。私はこの橋梁即ち手段を実在そのものと混同することが出来ないのだ。私はまた平安を欲すると共に進歩を欲する。潤色(elaboration)を欲すると共に創造を欲する。平安は既存の事体の調節的持続であり、進歩は既存の事体の建設的破棄である。潤色は在るものをよりよくすることであり、創造は在らざりしものをあらしめることである。私はその一方にのみ安住しているに堪えない。