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あいしょへき
愛書癖
辰野 隆
線上閱讀辰野 隆《愛書癖(あいしょへき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,404 字 · 23 頁
その広告を見た時僕は余計なことをするn・r・f社だと思って大いに憤慨したが、其後再版が手元に届いて初めて安心する事が出来た。本の体裁と云い紙質と云い初版とは全で較べものにならず、殊に初版にある美しい挿絵が再版には全然欠けているのが頗る気に入った。誠に埒もない話であるが、斯うした癖が高じると狂になるのだなと思って、其時、僕は微の字の付かぬ苦笑を漏らした事を一寸告白して置く。
愛書狂の熱は、印刷術発明後も益々激しくなるばかりだった。従って一方にはそれを冷笑する傾向も漸く辛辣になって来た。一四九七年、ドイツ人セバスチャン・ブラントの『狂者の御堂』と云う本の挿絵は、ロイド眼鏡をかけた老人が――断って置くが、ロイド眼鏡は決して近代の創意ではない。中世以来引続いて行われたもので、モリエールの喜劇に出て来る医者は、大抵ロイド眼鏡の愛用者である――で、ロイド眼鏡の老人が図書館のうす暗い一室で、巨大な書物に向って、左手で頁を翻えし、右手には鵝ペンを持って何か書きつけている。如何にも奇特な老学者だと思ったら大違いで、挿絵の説明には「俺は山のように書物を所有しているが、披いて読む事は殆どない。