輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

つきもの

憑きもの

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《憑きもの(つきもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,983 字 · 27 頁

青空文庫

頭の中にはいつもぼーと霧がかかっている。物忘れすること甚しい。寝床の中で眼を覚して、手や足がしびれてることはしばしばだ。

夜遅く、杉幸で飲んでいる時、突然、私は顔一面に汗をかき、頭からぽっと湯気を立てた。ハンケチでやけに顔を拭き、それから、銚子を三本、一度に持って来てくれと秋子に頼んだ。もう他に客もなく、火も落ちてるらしかったが、秋子はいつも従順だ。

私は一本の銚子から一杯飲んだ。

「これは僕自身。」

次の銚子から一杯飲んだ。

「これは酒。」

その次の銚子から一杯飲んだ。

「これは杉幸。」

眼に涙がにじんできた。

「三人とも、明日から別居だ。」

「何かのおまじないですか。」と秋子は言った。

「真面目な話だ。夫婦の仲にも別居ということがある。僕と酒と杉幸、こりゃあ夫婦の間よりもっと仲がよかった。然し僕は決心をしたんだ。明日から別居だ。」

「いっそ、離縁をなさらないの。」

「離縁はしない。禁酒は男の恥だ。恥をかくこたあない。ただ別居、別居、別居……。」

三本の銚子から一杯ずつ飲んでいった。

「これは君には一杯もあげないよ。みんな僕一人で飲んでしまうんだ。木下良三、まず一杯、特級酒、次に一杯、杉幸、次に一杯。