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あるひのたいわ

或る日の対話

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《或る日の対話(あるひのたいわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,277 字 · 11 頁

青空文庫

斯かる寂寥を、誰が感じたか、また誰が感じなかったか、私は厳密に設問したく思う。返答は応か否かの二つしかない。否の返答者については、新時代の名において、私はその人の言動の誠実さを疑いたい。

そういう瞑想は、更に私を寂寥の深くへ沈ませた。眼前のひっそりとした眺望と、それに伴う瞑想とは、互に表裏をなしてもつれ合い、それが明るい静かな斜陽に輝らされてるだけに一層淋しく、その時もしも私に恋人があったならば、恐らくその名を私は呼んだでもあろう。

そこへ、あの男がやって来たのである。

私は黙って彼を見た。殆んど無表情だったに違いない。彼は詮索するように私の顔色を窺った。その視線のもとで、私は泣きたいような気持ちになった。

「また、何かくだらないことを考えていたんだね。」と彼は言った。

その言葉は冷かに私の胸を刺した。普通ならば反抗するところだったが、寂寥の底にいた私は逆に、甘えかかっていった。硝子戸の外の淋しい眺め、内心の淋しい思いを、彼に訴え始めた。

彼は寛大に終りまで聞いてくれた。何度かうなずいて、同情のしるしまでも示した。それから静かな調子で言った。

「お前の気持ちは、よく分る。