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せんそうろん

戦争論

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《戦争論(せんそうろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,716 字 · 22 頁

青空文庫

人は誰しも殺人の能力があるが、故なき殺人は許されない。各々のエネルギーには使用の限界があり、いわば、この限界の発見が文化とか文明というものであって、エネルギーの発見自体は、直接それが文化や文明とよばるべきものではないのである。

原子エネルギーとても、同じことで、その使用の限界が発見、確定せられて、はじめて文化の一員となりうるにすぎない。

今日に至るまで、ただひとり戦争のみが、この限界をハミダス特権を専有し、人間はそのエネルギーの総量をあげて人を殺すことを許され、原子エネルギーもその全量の最も有効なるバクハツ力を発揮することを許され、祈られることができた。

日本交通史に於て、カゴや馬や人力車の時代までは、その全力をもって走ることを許されたが、自動車の時代に至って、速力に制限を受けざるを得なかった。その全力がもたらす効能よりも、制限がもたらす効能の方がより大であり、文明にかなっているからである。

戦争とても同じことで、一九四五年八月六日のバクダン以前の各種の兵器のエネルギーは、まだしも、その被害よりも、利益の方が、人類の歴史的立場に於ては、大であったと私は思う。