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てしごとのにほん
手仕事の日本
柳 宗悦
線上閱讀柳 宗悦《手仕事の日本(てしごとのにほん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 116,621 字 · 235 頁
この色は広くは東洋の色と称してもよく、西洋には余り発達の跡を見ません。そのためでもありましょうが、西洋人は植物から取るこの天然藍に一入感じ入るようであります。かえって私たちは余りにも見慣れているため、その価値を顧みない傾きがあります。もとより支那でも好んで常民の服に用いられましたが、おそらくこの色を最も多く取入れたのは日本人ではないでしょうか。その証拠にはこの色を以て凡ての色を代表させました。染物屋を呼んで「紺屋」といいます。庶民の着物であった絣もまた「紺絣」の名で親しまれました。それほどわが国では紺が色の本でありました。遠い地方にはいわゆる「地玉」といってその土地の藍もありましたが、何といっても「阿波藍」は藍の王様でありました。色が美しく、擦れに強く、香が良く、洗いに堪え、古くなればなるほど色に味いが加わります。こんな優れた染料が他にないことは誰も経験するところでありました。
しかし時は流れました。明治の半頃までさしも繁昌を極めた「阿波藍」にも大きな敵が現れました。化学は染めやすい人造藍を考え出しこれを安く売り捌きました。利に聡い商人たちはこれにつけ込みましたから、非常な早さで蔓延りました。