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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

線上閱讀戸坂 潤《技術の哲学(ぎじゅつのてつがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 頁

青空文庫

で、発明や発見は社会的な客観的必然性によって発生するのであればこそ、一つの社会施設として、発明乃至発見の奨励ということにも初めて意味が生じるわけである。

* J・ワットが蒸気汽罐を「発明」した時には、すでにイギリスではパピンの考案になる蒸気汽罐が、鉱山で技術的に経済的に使われていたのである。ワットの「発明」の主なものは、この蒸気汽罐のコンデンサーをシリンダーの外に装置するように改良しようというパテントに過ぎなかった。それを非合理主義的な発明観や天才説が、鉄瓶神話にまで盛り立てて了ったのである。

で、発明乃至発見が、こういう具合に社会施設によって、「奨励」され得るということは、その社会的地位から云って特別に有利な条件を平均的に具えている人々に対して、この奨励が特に有効だということを認めていることで、それはつまる処、技術家の社会的優遇ということに帰着する外はないのである。発明や発見を最も奨励し甲斐のあるのは、偶然な孤高の天才ではなくて、平均的に考えられた技術家なのである。

さて、資本主義社会も社会主義社会も、技術家の発明的天才を社会的に助成することに努力しているのだが、技術家の発明的天才という観念自身が、資本主義の下と社会主義の下とでは、別であることを見落してはならない。