輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんどうま

振動魔

海野 十三

線上閱讀海野 十三《振動魔(しんどうま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 17,354 字 · 34 頁

青空文庫

たしかに人声がするのだ。しかもそれは此の家の中から洩れ出でる話声だった。

柿丘夫妻はもう帰っていたのだったか。僕は立ちあがるとその声のする方へ、二三歩踏みだしたのだったが、およそ人間が、こういう機会にぶつかることがあったなら、十人が十人(悪いこととは知りながら)と言訳けを吾れと吾が心に試みながら、そっと他人の秘密を盗みぎきするものなのである。僕の場合に於ても、たちまち全身を好奇心にほてらせながら、小さい冒険の第一行動をおこしたことだった。ああ、しかしそれは何という大きい衝動を僕にあたえたことだったろう。話し声の一人は柿丘秋郎にちがいなかったけれど、もう一人の話し相手は呉子さんではなく、なんとそれは白石博士夫人雪子女史だったではないか。

勝手を知った僕は、逸早く身を飜して、書斎のカーテンの蔭にかくれることに成功した。そこからは隣りのベッド・ルームの対話が、耳を蔽いたいほど鮮かに、きこえてくるのだった。

そこに聴くことのできた話の内容は、一向に二人の関係について予備知識をもたなかった僕を、驚愕の淵につきおとすに十分だった。読者は、次のくだりを読んで、僕の呆然たりし顔を想像していただきたい。