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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁
キリスト教の聖典に残っている奇蹟すらも、ある場合には一種の手品であったという解釈が行われる。奇術の起源を古代にさかのぼれば古くは原始呪術から、あらゆる偽宗教のまどわし、中世のウィッチクラフトや錬金術などと縁を引いているし、日本でいえば「書紀」にしるされている大陸渡来の呪禁師すなわち呪師がやはり呪医と曲芸奇術を兼ね行なったのに始まり、一方大陸渡来の漂泊民傀儡子や、中古流行した放下僧などが日本奇術、曲芸の祖先である。
しかし、現代の手品は民族学の研究対象や神秘学の信仰とは異なり、神秘性呪術性は少しもない。そういうものがありそうに見せかけて、観客の好奇心を誘いはするけれども、その技術は絶対に合理主義をはずれることがない。起源を同じくしながらオカルティズムは超科学のみを取り扱い、手品は科学的手法のみに限定されてきたわけである。この呪法と奇術の絶縁によって、手品は近代的合理主義の世界のものとはなったが、同時に昔の神秘的魅力を失ったことも事実である。
有名な印度奇術に、空中に投げた綱が直立してこれを少年が空高く登って行く云々というのがあって、旅行者の実見談として広く流布されているが、私の見た限りの奇術書では、皆一応これに触れてはいるけれども、そのトリックは不明とし、虚構の伝説であろうというに一致している。