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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁

青空文庫

ここには、それらのうちの「意外な犯人」のトリックについて書いてみようと思う。

「意外な犯人」のトリックでもっともよく使われ、またその種類も多いのは「一人二役」である。私の集成では、八百例中の百三十例が「一人二役」の種々の変形で、第一位にある。その次は「密室の犯罪」の八十三例で、この二つのトリックが圧倒的に目立っている。

「一人二役」の一部に、被害者がすなわち犯人であったという着想がある。

一つの殺人事件で、殺した人物と殺された人物は、全く相対立するもので、この両者が同一人物であるなどとは、誰も考えない。加害者と被害者とは、どうしても相容れることのできない存在だからである。探偵作家は(ある場合には現実の犯人も)この常識の盲点に着眼して、いろいろなトリックを発明した。

私の分類の中から「被害者が犯人」の項目をひろい出してみると、左のようになる。

(1) 犯人が被害者に化ける(細分すると、犯行前に化けるものと、犯行後に化けるものとある)四十七例

(2) 共犯者が被害者に化ける(複数犯人の場合で、この方が実行はやさしい)四例

(3) 犯人が被害者の一人を装う(複数被害者の場合で、有名な作でいえばヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」