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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁

青空文庫

日本に指紋法が実施されたのは明治四十二年であるが、それより十七年も前に指紋と掌紋による個人鑑別の探偵小説が出版されているのは、充分珍とするに足ると思う。

その「幻燈」の内容を説明する前に、犯罪の個人鑑別に指紋法が実施されるまでの歴史をしらべてみる。これにはいろいろな参考書があると思うが、私は、「犯罪科学全集」(武侠社、昭和五年)の第十二巻に古畑博士が執筆された「指紋学」と、「エンサイクロペディ・アメリカナ」の指紋項によって、(ブリタニカの最新版の指紋の項は詳しくない)簡単な年代記を作ってみた。なお、指紋法実施の年と指紋小説出版の年とを対象するために、私の知っている指紋探偵小説の早いものを、この年代記の中に挿入した。○印がそれである。

★一六八六年。イタリーのボロニア大学教授マルピギー Marcello Marpighi が解剖学上から指紋の研究を発表した。

★一八二三年。ドイツのブレスラウ大学教授プルキンエ J. E. Purkinje が、やはり解剖学の立場から指紋の分類を発表した。

★一八八〇年。イギリス人フォールズ博士 Henry Faulds が日本、東京の築地病院在勤中、個人鑑別に指紋を利用し得べきことを主張した研究論文をイギリスのネーチュア誌の同年十月二十八日号に発表した。