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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁
の巻が裁判物語である。
その次に出たのが西鶴の「本朝桜陰比事」(元禄二年、一六八九年)で、これは題名を「棠陰比事」になぞらえているが、内容はかならずしも同書からとったものではない。そのほか「日本桃陰比事」「鎌倉比事」馬琴の「青砥藤綱模稜案」などいろいろあるが、ごく古い所は西鶴までの三書である。
中国には前記のほかに「包公案」「狄公案」「施公案」「彭公案」「竜図公案」などの「公案もの」といわれる多くの裁判物語があるが、この公案ものの方は本になった地代が新しいために、馬琴の「模稜案」に、いくらか影響している程度にすぎない。日本の裁判物語はほとんどことごとく宋時代の「棠陰比事」の模倣から出発しているといってよい。
では「棠陰比事」がこの種の書物として一番古いのかというと、さらにそのもとがある。「棠陰比事」の著者、四明桂は、その序文に「洗冤録」「晰獄亀鑑」の二書をあげ、これらにならって著したのだと書いている。この二書は同じ宋の時代に書かれたものだが、「棠陰比事」よりも古いのである。
ところが、「洗冤録」などは、もう娯楽読物ではなくて、法医学書である。刀傷死、殴打死、水死、焼死、縊死、毒死、姦死(鶏姦死まで含む)など、あらゆる死体検証の専門的智識が系統的にしるされ、それに実例が混るという体裁になっている。