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たんていしょうせつのなぞ
探偵小説の「謎」
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《探偵小説の「謎」(たんていしょうせつのなぞ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 頁
「日本へいらっしゃいといえば、喜んで移住してくるかも知れない」延原君がそんなことをいって笑ったのを覚えている。そのビーストンはともかくとして、ルヴェルがあれほどもてはやされたところをみると、理智とともにスリルをもなみなみならず愛する意味で、日本の探偵読書界は直接に始祖ポーの血筋をうけついでいるのだといってもさしつかえないような気がする。
論理文学としての探偵小説にとって、スリルは必然の要素ではない。スリルを少しも持たぬ探偵小説というものがあり得ないではない。しかし、それは実は机上の論であって、現実にはなんらかのスリルを含まぬ探偵小説なんてありはしないのだ。純論理文学といわれるポーの「マリー・コージェ」すらも高級際物であって、現実の犯罪事件との不可思議な暗合をまったく除き去ったならば、その魅力を半減したことはいうまでもない。つまり現実をモデルとした殺人事件のスリルというものが、あの作の一半の要素となっていたのである。
ダグラス・トムスンの「探偵作家論」には「スリラア」という章があって、そこで彼は例の調子でおびただしいスリルの文学を引用しているのだが、その中にはホーマーの「オディッセイ」