輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《播州平野(ばんしゅうへいや)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 頁
そのことは、却って、ひろ子の心を鎮める作用があった。網走から重吉も一人で、不便にあいながら、その困難を克服しながら東京へ向って来ている。二人は東京の家で逢う。ひろ子は平静にその瞬間を想うことが出来なかった。平静にそれまでの一日一日を待ちこすことも出来にくかった。もし、汽車が一夜ですーっと自分を東京まで運んでしまったとしたら、ひろ子は、重吉が来る迄の時間を、どうして過したらよかったろう。じっとしていられず青森まで出かけ、さて、そこでゆきちがったりしたら。――
新しい故障、新しい道づれ。それらは、ひろ子の精神を、当面の必要のために落付かせ、ひきしめた。一つ一つ、こういう段どりを重ねて、東京。そして重吉というひろ子にとっての絶頂に達する。一つ一つ過程の曲折を、入念に力いっぱいに経てゆくこと、それこそひろ子にとって、十余年の忍耐のうち、身も心も傾けつくしてうたおうとする歓びのうたに、ふさわしい序曲の展開と感じられるのであった。
ひろ子の一行が案内された当座しずまっていた隣室が、自然な騒々しさをとり戻した。隣室には、裏の縁側まで荷物をひろげて、朝鮮から復員した五人の兵士たちが降りこめられていた。