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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
線上閱讀甲賀 三郎《支倉事件(はせくらじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 頁
そんな事で行方不明なんて人が世間にザラにあるんだね」
「年はいくつ位だったんですか」
「見た所で若い人だと云う事は分ったけれども、少しも見当がつかなかったわ。お医者さんが二十二、三と鑑定したと新聞に出ていたよ」
もしやお貞の死体ではないかと乗気になって聞いて見たが、年が恰でちがうので岸本はがっかりした。
「私が見に行ってた時には」
お篠は思い出したように云った。
「支倉の旦那が丁度居てね」
「えっ、支倉さんが」
「そうなの、二人でね、見た所は若そうだが可哀想な事をしたものだって話合ったっけ」
「支倉さんも態見に来たのですか」
「さあ、態※(二の字点、1-2-22)だったか、通りがかりだったか、そんな事に覚えはないさ」
「兎に角、身投なんて嫌な事ですなあ」
余り支倉の事を問い過ぎて悟られてはならずと、岸本は態と話をはぐらかした。
「本当に嫌なこったよ」
おかみは顔をしかめたが、
「あゝ、大変だ、すっかり喋っちゃって夕方の支度をしなくっちゃ」
岸本は一人になって又せっせと仕事をしていると、主人が帰って来た。彼はちらりと岸本の仕事をしているのを覗くと、そのまゝ奥の居間に引ッ込んだ。