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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁

青空文庫

直衛は微笑して、「この件だけ、ということをお忘れにならないで下さい」

「どうしてだ」

「町奉行などに据置かれてはたまりません」

摂津は口をあき、どなりつけようとしたらしいが、直衛は辞儀をして、すばやくうしろへさがった。

朝倉邸の帰りに、彼は河本家へ寄り、佳奈を呼んで、話があるから「難波」へ来てくれと云い、反対しようとする佳奈には構わず、さっさとそこを出て比野川のほうへ向った。ちょっとおくれて、佳奈が難波へ着いたとき、直衛は菓子をつまみながら茶を啜っていた。

「まず用件を片づけよう」佳奈が坐るなり彼は云った、「佳奈の持参金は幾らくらいだ」

坐って、いま褄先を直していた佳奈は、そのまま手を止めて、不審そうに彼を見あげた。

「なんと仰しゃいました」

「さあさあ」と直衛はせきたて、「気取ることはない、幾らだ」

「そういう物を持ってゆかなければならないのですか」

「一般のしきたりじゃないか、多少にかかわらず女が嫁にゆくときには金を持ってゆくんだろう」

佳奈は表情をひきしめた、「あなたはそれを当てにしていらしったんですか」

「当てにしていたわけじゃないが、当てにしなければならなくなったんだ」