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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁

青空文庫

――宗兵衛が要屋のことで相談に来たとき、直衛もそれをみつけ、亡くなった妻の初尾が、塩漬けにするといい箸休めになる、と云ったことを思いだしたものであった。

「塩漬けにするということは聞いたが」と云いかけて直衛は佳奈の顔を訝しげに見まもった、「――おどろいたな、留守に来てそんなことをしていたのか」

「ですから珍しくはないんですのよ」

「家の者はなにも云わなかったぞ」

「畠中さんの躾がよろしいからでしょ、わたくしは口止めなんかいたしませんでしたわ」

「だろうと思うよ」と云って直衛は木瓜の実を指さした、「お手並は拝見したから、酒にしてもらってもいいだろうね」

「そんなにあがりたいんですか」

「一と月も飲まないって云ったろう」直衛はまじめな顔つきをしてみせた、「ようやく吟味も終ったし、珍しくかな公も、いや、かな公は珍しくはなかったのか」

「かな公はやめて下さい、わたくしそう呼ばれるのがなにより嫌いなんです」

「自分でそう呼べと云ったんだぞ、十一か二のときだったな、男と女と差別はない、ただ違うところは」

「お酒の支度をするように申します」

「そのあとは省略しよう」直衛はにやっと笑った、「そのとき佳奈は、これからあたしのことをかな公と呼んでくれって」