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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《改訂御定法(かいていごじょうほう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 頁

青空文庫

「そうね」と佳奈は赤くなった顔をそむけながら云った、「――きっと隠れんぼでもしていると思われるんでしょ」

直衛は下唇を上へ押しあげながら、小さく首を振った、「その返辞の中へうまく自分を隠したな、狡猾だ」

「わたくしがなにを隠しまして」

「自分自身をぜんぶさ、酒がないよ」

「憎らしいお口だわ」

佳奈は直衛の眼をとらえてにらみつけた。秋のなかばになると、佳奈は「難波」で逢うことを拒みだした。料亭の人たちにもへんな眼で見られるようだし、あによめも皮肉なことを云う。これからは河本の家か、直衛の家で逢うことにしたい、というのであった。

「祝言をすれば世帯じみてしまうんだ」と直衛は云った、「家庭の煩瑣なきずなからはなれ、二人だけで暢びり食事のできるのはいまのうちだからな、他人の眼なんか気にするのはばかげた話だよ」

「との方ならそれで済むでしょうけれどね」

「そう男と女の差別をつけるのは佳奈らしくないぞ」と直衛は云った、「――覚えているが、佳奈が十一か十二のときだったろうな、男ばかりが特にいばる理由はない、なぜかといえば、男と女の違いは」

「このとおりよ」佳奈は赤くなり、合掌してみせながら遮った、「どうぞその話はやめて」