輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぶんかさい

文化祭

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《文化祭(ぶんかさい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,978 字 · 28 頁

青空文庫

趣味というものは広いものだ。信じられないようなことを好む人がある。

井田信二は農村の静かな風物のなかで何不自由なく育った。彼の周囲の人々はそれぞれアクセク土にまみれて働いているのに、彼だけは戦時中も卵や牛乳にも不自由なくいわば小国の王子のように育ったのである。そのアゲクとして、彼が成人したときに、何が一番好きかというと、人から物を借りること、借りた物を返さないこと、サイソクされるとヌラリクラリと弁舌縦横敵を論破して退却せしめる。それが何より好きになった。早く云えば借金とり撃退を地上随一の快と感じるに至ったのである。

借金とり撃退に快を感じる人はこの世に少くないかも知れないが、多くはやむをえずそうなったもので、有るべき物が手もとにあれば強いてそのへんに快をむさぼるにも及ばないというのが実情であろう。中には矢でも鉄砲でも持ってこいなぞと身体をはる威勢のいい撃退組もあるが、ハタから見ればこれも悲痛で感心できないものがある。雅致がない。もともと借金はセッパつまったものではあるが、すすんで特攻隊になるのも感服すべき手段ではない。とはいえ、思いあまったアゲクのことで、風雅の道に欠けるところがあっても責めるわけにいかない性質のものだ。