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しんのあいこくしん

新渡戸稲造論集

新渡戸 稲造

線上閱讀新渡戸 稲造《新渡戸稲造論集(しんのあいこくしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,620 字 · 196 頁

青空文庫

それから同じ『青い鳥』の中に――あすこは芝居で見ぬと分らぬ所と思うが――子供ら二人が墓場に行き、妹は「こんな淋しい所に来て怖い怖い」と大きな声して泣く。すると兄貴の方が「何怖い事があるものか」というてちょっと頭に被っている帽子に手を触ると、墓場が急に花園に変る。詰り世の中に死というものがないということを現わした所で、即ち頭の使いようによって死ぬる生きるという事が定まるんで、多く主観的の現象と見做してよいように思う。

私はこの死という事を思うと、何時でもソクラテスと基督の死方に心を慰むることが多い。かのルソーもソクラテスの伝を書いて、彼の自若として死ぬる様には非常に敬服したものと見えて、その伝の筆を擱かんとする時に「ソクラテスは実に哲学者の死を遂げた」と書いてその文を結ばんとした時に、ふと眼前に閃いたのは基督の死方であった。故にまた筆を執り直し殆んど附録のように「然るにエス・キリストは神の如くに死した」と書き加えた。外から見て、自若として死を迎うる胆力は、世に稀とはいいながら、数えれば少くないと私は思う。ただややもすると、死を以て最上の戯曲の如く思っているものがある。