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しんのあいこくしん
新渡戸稲造論集
新渡戸 稲造
線上閱讀新渡戸 稲造《新渡戸稲造論集(しんのあいこくしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,620 字 · 196 頁
」「車屋さん、これは甚だ軽少ですが差上げましょう。」サアこうなって来ると車夫というものはエライものだ、尊敬を受くるものだとなって、車夫の位地もズット高まるし、また子供も悦んで車夫になるであろう。皆それぞれ高尚な資格を備えた人が車夫になる。今日では窃盗でもあるとか、あるいは喧嘩でもしたというと、その犯人としては車夫仲間へ一番に目を付けるという話だが、そんな事もなくなってしまい、一朝天下の大事でも起れば、新聞屋が車夫の所へ御高説を承わりたいといって往くようになろう。マア世の中はそんなものである。要するに一方に於て職業を軽蔑する観念が大いに除かれなければ、どれほど職業教育に力めたところで効能が薄かろう。
以上教育を施す第一の目的が職業であることを述べて来たが、然るに第二にはまたそれと反対の目的がある。それは即ち道楽である。道楽のために教育をする、道楽のために学問をすることがある。これはちょっと聞くと耳障りだ。けれども能くこれを味ってみると、また頗る面白い、高尚な趣味があろうと思う。人が学問をするのもこう行きたいものだ。来月は月給が昇るだろうと、職業的勘定ずくめの学問をすると、まるで頭を押えられるようなものだ。