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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁

青空文庫

陽にあたると、紙はすぐくるりと弾ねあがる。

詩は死に通じると云うところでしょうね。ええ御返事がないところはひきょうみれん……。

「少女」と云う雑誌から三円の稿料を送って来る。半年も前に持ちこんだ原稿が十枚、題は豆を送る駅の駅長さん。一枚三十銭も貰えるなんて、私は世界一のお金持ちになったような気がした。――詩集なぞ誰だってみむきもしない。

間代二円入れておく。

おばさんは急に、にこにこしている。手紙が来て判を押すと云う事はお祭のように重大だ。三文判の効用。生きていることもまんざらではない。

急にせっせと童話を書く。

みかん箱に新聞紙を張りつけて、風呂敷を鋲でとめたの。箱の中にはインクもユーゴー様も土鍋も魚も同居。あいなめ一尾買う。米一升買う。風呂にもはいる。

豚の王様、紅い靴、どっちも六枚ずつ。風呂あがりのせいか、安福せっけんの匂いが、肌にぷんぷん匂う。何と云う事もなく、せっけんの匂いをかいでいたら、フランスと云う国へ行ってみたいなと思う。

日本よりは住み心地のいいところではないかしら……。夢にみるほど恋いこがれてみたところで仕方がない。猫が汽車に乗りたいと思うようなものだ。