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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
線上閱讀林 芙美子《新版 放浪記(しんぱん ほうろうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,330 字 · 497 頁
炭坑には、色々な行商人が這入り込んでいるのだ。
「暑うしてたまらんなア。」この頃私には、こうして親しく言葉をかける相棒が二人ばかりあった。「松ちゃん」これは香月から歩いて来る駄菓子屋で、可愛い十五の少女であったが、間もなく、青島へ芸者に売られて行ってしまった。「ひろちゃん」干物屋の売り子で、十三の少年だけれど、彼の理想は、一人前の坑夫になりたい事だった。酒が呑めて、ツルハシを一寸高く振りかざせば人が驚くし、町の連鎖劇は無料でみられるし、月の出た遠賀川のほとりを、私はこのひろちゃんたちの話を聞きながら帰ったものだった。――その頃よく均一と云う言葉が流行っていたけれど、私の扇子も均一の十銭で、鯉の絵や、七福神、富士山の絵が描いてある。骨はがんじょうな竹が七本ばかりついている。毎日平均二十本位はかたづけていった。緑色のペンキのはげた社宅の細君よりも、坑夫長屋をまわった方がはるかに扇子はさばけていった。外にラッパ長屋と云って、一棟に十家族も住んでいる鮮人長屋もあった。アンペラの畳の上には玉葱をむいたような子供達が、裸で重なりあって遊んでいた。
烈々とした空の下には、掘りかえした土が口を開けて、雷のように遠くではトロッコの流れる音が聞えている。