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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

そしてまた語りものの一段のうちには、たしかに好い個所がありながら、何とやら取ってつけたような継目が多くあるのを感覚の鋭い近代人は同感しなくなったのではなかろうか。女義太夫の衰退とばかりは見られないのではなかろうかと思われた。とはいえ、綾之助の技芸はそれらの聴衆をすこしの間に引緊めてしまった。座席もないほどにつまって、ごうごうとしていた人たちも語りもののなかへ吸込まれていって、ひっそりとなるまでになった。聴衆は綾之助の名と、綾之助の芸から、すこしでも多く、期待した感興を得ようとした。

――あのときの綾之助の語り口は堅実であったと、耳の底にのこる記憶を、玩味するように思出していた。彼女の「野崎村」は艶にとぼしかったといえるかも知れなかったが、野梅のようなお光と、白梅のような久松と、淡紅梅のお染とがよく語りわけられて、そのうちにもお染はともすると、はすはになりがちであるのをしっとりと品よく、大どころの秘蔵娘を彷彿させたと、あのきりりとした綾之助の面影まで思いうかべるのだった。そのうちにまた鶯のことがかえってくると、今度はそれに織りまぜて、呂昇を久しく聴かないなと思ったりした。