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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁

青空文庫

野沢屋の店が、この親子三人――彼女は祖母で、娘は未亡人となり、主人はまだ無妻であった――のために月々仕払う生活費は一万円であったということである。無論たった三人のために台所番頭という役廻りまであって、その人たちは立派な一家をなし、中流以上の家計を営んでいたのである。

お上女中、お下女中、三十人からの女中が一日、齷齪とすわる暇もなく、ざわざわしていた家である。台所もお上の台所、お下の台どころとわかれ、器物などもそれぞれに応じて来客にも等差が非常にあった。

彼女はそうした生活から、そうした放縦の疲労から老衰を早めた。おりもおり、さしもに誇りを持った横浜の土地から、或夜、ひそかに逃げださなければならなかった。彼女は幾台かの自動車に守られて、かねて東京へ来たおりの遊び場処にと、それも贔屓のあまりにかい取っておいた、赤坂仲の町の俳優尾上梅幸の旧宅へと隠れた。

とはいえ彼女はさすがに苦労をした女であり、また身にあまる栄華を尽したことをも悟っていたのか、家の退転については、あまり見苦しい態度はとらなかったということである。病床にある彼女はすっかり諦めて、これが本来なのだ、もともと通りなのだと達観しているとも聞いたが、何処やらに非凡なところがある女という事が知れる。