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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (上)(めいじびじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,076 字 · 256 頁
「嘘のことはない。やろうと思ったから行ったのだけれど中止にしてしまったの。だって、須磨子の鼻を見ていたら――鼻の低いものが寄合ったってしようがないじゃないの」
あの女史はポンポンと言ってしまったけれど、口のさきと心の底と、感じたものとおなじであったかどうかはわからない。感覚の鋭い女史が、激しい気性の須磨子と上になることも下になることも出来にくいと、見てとったと思うのは推測にすぎるかもしれないが、低い鼻という愛敬にかたづけてしまった俊子女史の機智もおもしろい。いま米国の晩香波に新しい生涯を開拓しようとして渡航した女史のもとに、彼女の訃がもたらされたならばどんな感慨にうたれるであろう。
須磨子の年老った母親は他人が悔みをいったときに、
「どうせ死神につかれているのですから、今度死ななくなったって、何処かで死んだでしょうから」
と諦らめよく言切ったそうである。
彼女の故郷は? そうした母親の懐! 彼女が故郷への初興行は、たしかズウデルマンの「故郷」のマグダであったかと思う。そのおりの名声はすさまじいもので、県の選出代議士某氏は、信州から出た傑物は佐久間象山に松井須磨子だとまで脱線した。