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いちのくらさわなんりょう

新編 風雪のビヴァーク

松濤 明

線上閱讀松濤 明《新編 風雪のビヴァーク(いちのくらさわなんりょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 25,081 字 · 51 頁

青空文庫

一ノ倉沢南稜

パーティ 丹羽(正吉)、松濤

昭和十六年六月八日

土合(六・〇〇)―南稜テラス(八・一〇~八・三〇)―一ノ倉尾根のピーク(一四・〇〇~一四・二〇)―土合(一七・〇〇)

テラスに揃ってキジを撃ち、ここでアンザイレンしておもむろに取り付く。緊張しているにもかかわらず、闘志が一向ないので三ツ峠の悪場に取り付いているようだ。チムニー、その上の壁、大分手間どった。南稜が上部笹原に連なる付近は、直下に烏帽子沢を俯瞰してまことに気味が悪い。それにきょうは風が強く、いくども振られて胆を冷やした。笹原に入ってザイルを解き、握り飯を噛りながら笹に身を埋めてしばらくトカゲする。

これからの斜面は悪くないが、抜かると烏帽子沢をダイヴするので慎重に登った。平田君の落ちたピークの上で服装を整え、沖ノ耳へ向う。尾根は素敵に風が寒く、土合に着いた時には、ああ、とうとう風邪を引いてしまった。山の家泊り。翌日は雲量零の大快晴であったが、かえって怠れて、マチガ沢でトカゲして午後の汽車で帰京した。