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しんさいゆうき
新西遊記
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《新西遊記(しんさいゆうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,654 字 · 52 頁
これが聖都かとおどろかれた。大きな店はバルコルという通りに集まっているが、どの店にも客引のようなものがいて、やかましく通行人を呼びとめる。そういうごったがえしのなかを、黄衣のラマ僧が悍馬を乗りこなしながらこれ見よがしに疾駆している。町はずれの僧舎に宿をとり、さっそく一切経を探しに出たが、大道に経本をならべた、露店といった体裁の店ばかりである。西蔵一切経はとたずねると、そういうものは注文主が紙を提供し、版本代と刷り代をだして刷らせる。文典学者の出た寺にはそのほうの版木、修辞学者の出た寺にはまたそれと、律部も論部もバラバラに保蔵されているので、順々にまわって版木を借り集める。遠い寺にある分はべつに旅費を払うのである。
三日ばかり広場に通いつめ、あるだけの経本屋にあたっていると、還俗したラマ僧といった廿四五の男がそばへ来て、西蔵大蔵を探しているということだが、お望みならいい蔵経家を紹介する。紹介料として乾隆十枚いただくという。それくらいな金ですむならと、いうままに金をやると、これからすぐ行きましょう、むこうは暇なひとだからと、先に立って歩きだした。
屋根のかかった支那風の石橋を渡り、楡や柳の芽が青く萌えた法林道場の広い庭を横切って、その奥の大きな邸の前へ行った。