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りょしゅう
旅愁
横光 利一
線上閱讀横光 利一《旅愁(りょしゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 576,941 字 · 1138 頁
どちらかといえば由吉に似ていたが、人を容易に受けつけそうもないおっとりした白味の多い眼は、家中で一番権威を具えた存在なことも、ひと眼で矢代には呑み込めた。千鶴子がすぐ次に矢代を母に紹介した。すると、千鶴子の母は笑顔を消し初めて矢代をじっと見詰めたまま、何も云わずにお辞儀をした。それは一寸恐わそうな怯えを帯んだ表情で、視線を下に落すと、あたりの床を見廻しながら、
「この子はわがままな子なもんですから、皆さんにいろいろ御迷惑おかけしたことだろうって、そう申しているんでございますよ。ほんとにこの子は。」
笑いもせず襟を併せ併せいううちにも、徐徐に遅い微笑が泛んで来た。矢代はその笑顔を見て、初めて、これで心の通じる部分も必ずある人だと思った。
「小母さん、宇佐美の外国行きの用意はもう出来てるんですか。お急がしいでしょう。」と塩野は訊ねた。
「あの人はのんきなものだから、行くんだか行かないんだか、分らないんですのよ。先日も藤沢さんがいらして下すったんですが、あの方一緒につれて行けって仰言るのに、君なんか連れてったらおれの悪事が露顕するからいやだ、なんて申すんですよ。