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けいば
日本の名随筆 別巻80 競馬
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《日本の名随筆 別巻80 競馬(けいば)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,091 字 · 8 頁
競馬は、宮廷が最初の主催者である。奈良朝の文武帝に始まるというから、仏教と前後して渡った事かもしれぬ。聖武帝と光明皇后。また、代々の天皇、春宮、上皇、女院、藤壺ノ君などが、群集と共に、笑みを並べて競馬を見る――そんな絵画的想像もわく。
わけて、平安期の末期には、年表にも「天皇、皇后、競馬を覧給ふ」の項が随所に多い。神泉苑の競馬、仁和寺の競馬、加茂の競馬、時には、公卿の邸地でも、都の大路でも、臨時競馬をやった。
すべて直線コースで、今の千二百メートルぐらいがせいぜいであったらしい。騎手は、朝臣たちだ。中には、負けたくやしさに、切腹した者もある。
「賭物貢ノ式」というのが、春と秋に、宮中で行われる。天皇の前で、負け組から勝組へ、罰として“貢”を贈る儀式である。あとは無礼講となり、敵味方、勝敗を忘れて、大らかに飲み遊ぶ。
いったいに、その頃は、賭け事を、そう危険視や不潔視していなかったようである。僧侶をあいてに天皇が、賭け碁をしたりしておいでになる。
とにかく、競馬場には、素裸な庶民が、終日、他愛もなく渦まいている。偽似君子でなければ、この中にも人間の真を見出すであろう。