輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,032 字 · 22 頁
……なお女は手を伸ばして八重の肩を押えた。
「八重、……おまえさぞ、苦しかったろうね」
そして、自分も片手で面を掩った。
その年の霜月の中旬に、平三郎は妻を娶った。同藩の田辺重左衛門の三女で、名は「八重」といった。彼は母親からそう告げられたときも、祝言をしてからも、格別なにも気づかなかったようだ。そして二十日ほど経ったある朝のこと、出仕の支度をしていたとき、脱ぎすてた衣服を畳んでいる妻の手許を見て、なにかひどく吃驚したように眼を瞠った、……急がしげに動いている妻の、右の小指が内側へ少し曲っているのである、彼は眼のさめたような気持で、妻の姿を眺めまわした。それからもういちど右手の小指を見たが、やがてしずかに居間を出て、母親の部屋へはいっていった。
なお女は彼のために、出仕まえの茶を点てていた。彼はそこへいっていつもの席へ坐り、「母上、大きな『袴』でしたよ」といった。そしてなお女が訝しげに眼をあげると、あの柔和な、明るい笑いかたでにこっと笑いながらいった、
「……八重はあの八重だったのですね」