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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,032 字 · 22 頁
……客間へ通されて、主人左内と暫く話すうち、妻子が菓子を運び、次いで当の娘が茶の接待に出た。平三郎ははじめ出て来た妻女には注意したようだったが、娘には殆ど眼を向けなかった。
「これはむすめ早苗でござる」と、左内がひきあわせた、「……ふつつか者だが、お見知りおき下さい」
平三郎は、はあと答えたが、そちらへは向かなかった。娘は上気した面を伏せたまま、然しおちついた優雅な身ごなしで茶の給仕をし、一礼してしずかに去った。このあいだにかなりの時があったのだが、彼の注意が娘のほうに動いたようすはなかった。
酒肴が運ばれて、また娘が給仕に出た、話は途切れがちだったが、席はいつかのびやかにおちつき、いかにも寛いだ小酒宴となった。けれども彼はやっぱり娘を見ようとはしなかった、無視するという態度ではないが、ごく自然な無関心という風だった。こうして、灯がはいってから一刻ほどして、主税と平三郎とは芝方家を辞去した。
家へ帰ると母親が待ち兼ねていて、気遣わしげに、「どうでした」と訊いた。
「たいへん馳走になりました」平三郎はそう答えたきりである。なお女は仕方なしにはっきり相手はどうだったのかと訊き返した。