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にほんばし

日本橋

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《日本橋(にほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,697 字 · 177 頁

青空文庫

あわせかがみ

六十六

の長襦袢ばかりの姿がある。

がらりと開けると、ずかずかと入るが否や、

「畜生!」

振向く処を一刀、向うづきに、グサと突いたが脇腹で、アッとほとんど無意識に手で疵を抑えざまに、弱腰を横に落す処を、引なぐりにもう一刀、肩さきをかッと当てた、が、それは引かき疵に過ぎなかった。刃物の鍛は生鉄で、刃は一度で、中じゃくれに曲ったのである。

「姉さん、――」

虫が知らしたか、もう一度、

「お爺さん。」と呼ぶと斉しく、立って逃げもあえず、真白な腕をあわれ、嬰児のように虚空に投げて、身を悶えたのは、お千世ではないか。

赤熊は今日も附狙って、清葉が下に着た段鹿子を目的に刃を当てた。

このお千世の着ていたのは、しかしそれではなく、……清葉が自分のを持して寄越したのであることを、ここで言いたい。

「ちょっと、お茶を頂きに。」――

清葉の眉の上ったのを見て、茶の缶をたたく叔母なるものは、香煎でもてなすことも出来ないで、陰気な茶の間が白けたのであったが。

あわせかがみ

六十六

「これは、いらっしゃいまし。」

そこへ、お千世に介抱されつつ、二階から下りて来たお孝が、儀式正しく、ぴたりと手を支いて挨拶をした。