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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁

青空文庫

の立場から解かれている。が、かく「物のあはれ」を根拠づけるとともに、「物のあはれ」をば単に感情を対象に即して言い現わしたものとのみ見ることは許されなくなる。もとより「物のあはれ」はその領域としては「人の感ずべき限り」を、すなわち広さにおいては、単に官能的のみならず道徳的宗教的その他一切の感情を、――たとえば人の品位に感じ仏心の貴さにうたれるというごときことをも、――また深さにおいては、およそ人間の感受力の能う限りを、包括しなくてはならない。しかし最初に定義したごとくいかなる感情も直ちにそのままに「物のあはれ」と見らるべきであるとすれば、右のごとき「物のあはれ」の浄化作用は解き難いものとなるであろう。そこで彼は、(ここに説くごとき論理的必要によってではないが、)「物のあはれ」に性質上の制限を加える。

(一) 人としては感情なきものはない。しかし彼は「物のあはれ知らぬもの」を認める。その一例は法師である。出家の道は「物のあはれを知りては行ひがたきすぢなれば、強ひて心強く、あはれ知らぬものになりて、行ふ道」(全集五。一一六五)であるゆえに、法師が真に法師である限り、彼は「あはれ」