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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁
この種の叙情詩を持つ日本人が、三月堂の月光を造ったとして何の不思議があるだろう。仏教思想を歌ったか歌わぬか、あるいは仏像仏寺に対する讃嘆の心を歌ったか歌わぬか、それはこの両者を結び付ける根本のものではない。あの叙情詩に現われた芸術的敏感、情緒の豊富、直視の鋭敏、――それがあの彫刻に現われた心にふさわしければ、両者は直ちに結びつくのである。
が、技巧の練達はやがて技巧をもてあそぶ心を生ぜしめる。表現を迫る内生と表現に奉仕する技巧との緊密な協和は、ようやく破れ始めた。人は余裕ある心持ちで技巧そのものの妙味に没頭し得ることを知った。鼻の赤い池田朝臣と痩せて骨立った大神朝臣との贈答のごときがそれである。
寺寺の女餓鬼申さく大神の男餓鬼たばりてその子生まはむ (池田)
仏つくる真朱たらずば水たまる池田のあそが鼻の上を掘れ (大神)
「水たまる」が池にかぶせた枕詞であるとはいえ、そのあとに「鼻」が来るに及んで妙味のつきないものがある。女餓鬼に子を生ませ、赤鼻から朱を掘るなども機智の優れたるものであろう。しかしこの種の滑稽は芸術として価値高きものではない。そこには美を生むべき芸術家の心が君臨していない。