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にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

線上閱讀大杉 栄《日本脱出記(にほんだっしゅつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,254 字 · 151 頁

青空文庫

それじゃ、と言って、僕は例の贅沢をならべ立てて、それから極上の白葡萄酒を一本と註文した。

四、五人は代る代るに残っていたが、二時頃にはみんなまた帰って仕事を始めた。

大使館へ行った使いの私服はまだ帰って来ない。僕は幾度も官房主事のところへ使いをやったが一向要領を得ない。

待ちくたびれもし、たいくつでもあり、始終ぎょろぎょろといろんな奴等に見つめられているのも癪にさわるので、僕はろくに飲めもしない葡萄酒を絶えずちびりちびりとラッパでやっていた。

四時頃になって、ようやく官房主事からの迎いが来た。そしてその室へ行って少し話しているところへ、背の高い大男の、長い少しぼんやりした顔の日本人が一人、先きに大使館へ使いに行った男と一緒にはいって来た。かつて名だけは聞いていた大使館一等書記官の杉村何とか太郎君だ。

杉村君はちょっと官房主事と挨拶したあとで、僕と話ししたいのだが許して貰えようかと尋ねた。主事は僕等のために別室の戸をあけた。

「今ここからの使いで初めて追放ということを知って駈けつけて来たんですが、僕もできるだけはあなたの便宜のためにここと交渉して見ようと思うんです。