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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 頁
他の者なら、辛抱なさいと言うのだが、あなたにはそうは言わない。すこしも早く、あなたは自分だけになる方が好い。もう山になんぞいないで、十分に自分の道へ出た方が好い。
そう言われて、はじめて道が開けた気がしだした。あたしはこの山住みで、小さな作を投書して特賞を得たりしたが、これは実力がどの位な辺かという試しにしたことで、これならなぞというたかぶった気持ちではすこしもなかった。
東京へ帰ると、舅が亡くなったりして、離婚のことを言い出せなかった。だが、ぽつぽつと書くものは通るようになって来て、今度は離婚に、婚家の方で意地悪をはじめ、かなり苛酷な目にも逢ったが、その為あたしの健康がおとろえ、もはや生きまいと思われたほどだったので、肺病ではしかたがないと、漸く事がきまった。
その前にあたしは家を出て、実家の世話になっていた。それは一つは、勘当息子にも以前の家をあてがわれ、多少の資本をもわけられるようになったから、あたしの心に定めた通りになったから、やましきところがなかったのと、も一つは、あたしの山に居ることを聞いて、作品から慕ってくれていた少年があったから、あたしは、心にもなき家に止まって、その少年の愛を告げる心を掴んでいるのは、両方に対して心苦しく感じたからでもあった。