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めいじてつがくかいのかいこ
明治哲学界の回顧
井上 哲次郎
線上閱讀井上 哲次郎《明治哲学界の回顧(めいじてつがくかいのかいこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,814 字 · 12 頁
これははなはだ遺憾なことである。そのようにならないように、自分ははじめから絶えず東洋の哲学を講じてバランスを保つように努力してきたのであるけれども、この精神をよく汲みとってくれる人のはなはだ少ないのは遺憾に堪えない次第である。しかし早晩目覚めてくるに相違ないと信じている。
明治三十八年以後は日露戦争の結果であろう、だいぶ形勢が変ってきた。それより前に日清戦争があったけれども、あれに較べると、日露戦争はいっそう影響するところが多く、その結果思想界にまで変化を及ぼすに至ったのは怪しむに足らないと思う。もっとも大正年間に入って世界大戦があったからして、これまた非常な変動をもたらしたのであるけれども、世界大戦に先立っては日露戦争がわが日本にとってはながく深刻な印象を与え、非常な影響をわが思想界に及ぼしたのである。それで、日露戦争後は個人の自覚が顕著となり、狭隘なる愛国心よりたちまち目醒めて、世界的の広大なる精神が俄然発達し、ある者は特に社会問題に深大なる注意を払うようになってきたのである。それで、明治三十八年をもって思想界に一時期を劃したものということもまた一つの見方であろうと思う。