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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,755 字 · 62 頁

青空文庫

すると……」

「どなたの手に品物があるにしても、私にとっては同じことです」

「そうでしょうか」

政子はちょッと考えていたが、

「当家でハナ子とおよびの女中はいつから働いておりますか」

「当てにならない記憶ですが、三四ヶ月、四五ヶ月ぐらい以前からかも知れません」

「女中の身許を御存知でしょうか」

「当家の者の中にそれを存じてる者が他におりましょう。杉山さんのお話では、当家出入りの呉服商人が身許を保証して頼んだものとか承わっております」

「杉山さんとは?」

「私の御相談相手の御老女」

「出入りの呉服商とは、日本橋の伊勢屋?」

「そうです」

「たぶんそうと思いました。あの女中は日本橋の呉服問屋チヂミ屋の娘小花と申す者で、一度は私の妹でした。なぜなら、半年以前まで、私はチヂミ屋の総領のおヨメでしたから。小花さんは同じ町内の伊勢屋の娘とは同窓で、特別親しいお友だちでした。そして半年前までは、ひょッとすると小花さんが兄のおヨメになるかも知れない人でした。私がチヂミ屋の総領と結婚した理由と同じように、チヂミ屋の財産と私の生家と濃いツナガリをもつ必要のためにです。天下名題の貧乏男爵家ですから。