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ほしじょろう

星女郎

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《星女郎(ほしじょろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 52,344 字 · 104 頁

青空文庫

その御心得なれば別儀ござるまいで、必ず御無用とは申上げん。

峠でその婦人を見るものは……云々と恐るべき風説はいたすが、現に、私とても御覧のごとく別条はないようで、……折角じゃ、いっそのことお出が宜しい。」

「ああ、それはどうも難有い。」

と三造は礼を云う。許されたような気がしたのである。

「さ、さ、」

先達も立構えで、話の中にって落した道芝の、帯の端折目に散りかかった、三造の裾を二ツ三ツ、煽ぐように払いてくれた。

「ところで、」

顔を振って四辺を見た目は、どっちを向いても、峰の緑、処々に雲が白い。

「この日脚じゃ、暮切らぬ内峠は越せます、が坂は暗くなるでござろう。――急ぎの旅ではなかろうで、手前お守りをいたす、麓の御堂で御一泊のように願います。無事にお越しの御様子も伺いたい。留守には誰も居らず、戸棚には夜具一組、蚊帳もござる。

私は、急いで、竹の橋まで下りますで、汽車でぐるりと一廻り、直ぐに石動から御堂へ戻ると、貴辺はまだ上りがある。事に因ると、先へ帰って茶を沸して相待てます。それが宜しい、そうなさって。ああ、御承知か。重畳々々。

就きましては、」

かさかさと胸を開いて、仰向けに手に据えた、鬼の面は、紺青の空に映って、山深き径に幽なる光を放つ。