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はるのやま
春の山
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《春の山(はるのやま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,782 字 · 18 頁
そのたびに、黒と茶の羽毛がまじりあって、噴水のように空に噴きあがる。
明月院のほうが優勢だが、佐介もやられてばかりはいない。戦うほか、生きる道はないのだと理解しているように、死の淵に追いつめられた生物の窮極の姿勢で、サイドに尾羽をすりつけながら、リンクのまわりをグルグルとまわっていたが、チャンスをつかんで明月院に襲いかかると、頭をひっぱたいてあおのけにひっくりかえし、五尺ぐらいも飛びあがっておいて、背中のまんなかに隕石のように落ちかかった。明月院はサイドの近くまでコロコロところげて行ったが、そこであっけなく乗りつぶされ、砂に首を埋めて、みじめな声で鳴いた。
観衆は期待はずれで拍子ぬけがし、二つ三つ気のぬけたような拍手を送った。
二本目の試合で、にわかに形勢が逆転した。佐介は闘志を失って物臭くなり、リンクの隅を辿って逃げてばかりいる。明月院はリンクの遠い隅で、身体を揺りながら足踏みをし、戸惑ったようにウロウロしている佐介のほうを見込んでいたが、とっさに駆けだして行くと、嘴と眼の間へ距を打ちこみ、背越しに一間ほどもうしろへ投げつけた。
佐介は死に、それで勝負は終った。