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はるのとうぞく
春の盗賊
線上閱讀太宰 治《春の盗賊(はるのとうぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,212 字 · 58 頁
私は、またそれをよいことにして、貧ゆえでなく、いや、それもあるが、わざと窓にカアテンを取り附けず、この朝日の直射を、私の豪華な目ざまし時計と誇称して、日光の氾濫と同時に跳ね起きる。早起は、このようにして、どうやら無事であるが、早寝には、閉口している。ここは田舎ゆえ、八時すぎると、しんとしている。時々、犬が月におびえて遠吠えするくらいのものである。朝ばかばかしく早く跳ね起きてしまうものであるから、夜の八時すぎになると、自ら、うんざりして来る。目ざめて、動いていることに厭きて来る。眠りたいと思う。何かと考えているのが、いやになる。眠って、とりとめのない夢を見たいと思うのである。夢を見ることだけが、たのしみである。朝早く起きて、能率は、ちっともあがらないのであるが、それでも遊ぶのが、こわくて、たいてい机のまえに坐って、一日中、勉強のふりをしているのである。まねごとだけでも、机にからだを縛りつけて、もそもそやっていると、夜までには、かなりからだも疲れている。へとへとのことさえ、あります。そんなに自信のあるからだでもないのだから、私は、そろそろ寝なければならぬ。