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しょうわのじゅうよねんかん
昭和の十四年間
宮本 百合子
線上閱讀宮本 百合子《昭和の十四年間(しょうわのじゅうよねんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 35,356 字 · 69 頁
ところに谺していたヒューマニズムの響きの来し方として、愕きに似た感想を喚び起される。人間性の無制約な承認という主張はあのように熱心にくりかえされていたが、社会事情の推移は、かくも急速に知識人の知性のために矛を向けるものと変化した。文学はまず民衆にわかるものでなければならない。民衆の日常感情を映したものでなければならないといわれたが、民衆の理解力といい、日常感情といいそれらはいずれも論者たちの主観的な解釈に立った内容でとりあげられ、その意味では民衆の文学といわれつつ必ずしも文学の現実として民衆を対象としているとは言いかねた。
谷川徹三が時を同くして唱えた文化平衡論も知識人と民衆の間に横たわる文化のギャップを埋めて、日本の新しい文化はその平衡をとりもどさなければならないとしたが、この論に於ても平衡のモメントは文化そのものの全体的な向上の歴史の過程で生れるものとはみられていず、現実的に高いところから低いところへというような歩みよりの意味で語られた。民衆というものは自身の文化成育の欲望をもっていないものだろうか。知識人の再生というものは、今日あるがままの民衆の習俗常識の中へ己を埋没させてゆくことでだけ達成されるものだろうか。