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とけいやしきのひみつ

時計屋敷の秘密

海野 十三

線上閱讀海野 十三《時計屋敷の秘密(とけいやしきのひみつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,481 字 · 74 頁

青空文庫

気味のわるい名物

「時計屋敷はおっかねえところだから、お前たちいっちゃなんねえぞ」

「お父うのいうとおりだ。時計屋敷へはいったがさいご、生きて二度とは出てこられねえぞ。おっかねえ化け物がいて、お前たちを頭からがりがりと、とってくうぞ」

「化け物ではねえ、幽霊だ」

「いや、化け物だということだよ」

お父うとお母あが、そこで化け物だ幽霊だと、口争いをはじめてしまったが、とにかくこの「時計屋敷」のこわいことは、村の子供たちはよく知っていた。

その時計屋敷とは、いったい何であろうか。

この左内村の東はずれにあたる山腹に、昔からこの時計屋敷が見られた。がんじょうな塀にかこまれた邸で、まん中に二階づくりの西洋館があり、そして正面にはりだして古風な時計台がそびえているのだった。

その時計台も洋館も、昔からあれはてていて、例のおそろしいいいつたえと共に、だれも近づくものはなかった。

窓の戸はやぶれ、屋根には穴があき、つきだしたひさしはひどくひん曲っていた。ペンキの色もすっかりはげて、建物はミイラ色になっていた。

時計台の大時計は、二時をさしたまま、動かなくなっていた。