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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁
石と鉄と打ちあわせてね、その火花を、お灸のもぐさのようなものにもえうつらせて、火をつくっていたのだよ。この火打石というものは、日本でも西洋でも、ずっと大昔から使われていたのだが、それよりもっと昔、歴史の本にものっていないころの人間は、どうして火をつくっていたか、お前知っているかね」
「ええ、いつか先生からききました。かたい木をきりのようにけずって、そのとがった先を別の板にあてがって、きりをもむように、もむんでしょう。そうして長いあいだもんでいると、すれあっているところが、だんだん熱くなって、おしまいには火がもえ出すんですって。今でも野蛮人の中には、そうして火をつくっているものがあるんですってね」
「そうだ。なかなかよく覚えていたね。大昔から今までに、私たち人間が火をつくる道具に使ったのは、まあ、そんなものだが、その外にもまだ、いろいろのやり方がある。お前も知っているだろう」
「ええ、知っています。老眼鏡の玉を太陽の光にあてて、もえやすい物に焦点を作れば、火がとれるんです。僕、いくどもやってみたことがあります」
「そうだね。それからまだあるよ。電気の火花はお前もよく知っているね。