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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

ちょうど同じぐらいに見えます」

それを聞くと、高橋さんは、糸をたぐる手をとめて、糸の、一太郎君の目のへんにあたる所を、別の赤い糸でしばって、目じるしをつけました。

「さあ、今度は、君の指でこの赤い糸のところをしっかりつまんで、目のそばにくっつけて、そのままじっと動かないでいるんだ。いいかい」

高橋さんはそう命じておいて、高く上っている風船をグングンたぐりながら、畠のむこうの風船の方へ歩いて行きました。

やがて、空に上っていた風船が高橋さんの手元にたぐりよせられ、一太郎君のつまんでいる糸が、ピンと一直線にはりきった所で、高橋さんは立ちどまりました。そこは畠の真中で、むこうの風船との間は、まだ数米へだたっているのです。

「さあ、こうして横に引っぱって、同じ高さにすると、今度はどちらが大きく見えるね」

高橋さんが大声でたずねました。

「あ、へんですねえ。高橋さんの持っている風船の方が、ずっと大きく見えますよ」

一太郎君は、またびっくりしました。

「いいかい、この風船が空に上っていた時も、こうして横に引っぱった時も、糸の長さは同じなんだから、君の目と風船のへだたりも同じわけだね。