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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

だから、音が鉄を伝わる早さと、空気を伝わる早さとくらべると、鉄の方が早いのですね。ね、伯父さん、そうなんでしょう」

一太郎君は問題のとけたうれしさに、思わず早口になって、力をこめて答えるのでした。

「えらい。さすがは智恵の一太郎だ。よく答えた。その通りだよ。音が空気を伝わる早さは、さっきも言った通り一秒間に三百四十メートルだが、水の中を伝わる早さは、その約五倍、鉄を伝わる早さは約十五倍というふうに、伝わる物によって、早さがたいへんちがうのだよ。

さあ、そこで一つ計算をしてみよう。今君が耳をつけていたところと、僕が石でたたいた所とのへだたりは、およそ四十メートルだから、たたいてから音がきこえるまでの時間は、空気をつたわる音の方は四十メートルを三百四十メートルで割れば、大たいその答が出るわけだね。さあ計算してごらん」

一太郎君は小石で土の上に数字を書いて計算しました。

「八分の一秒ほどです」

「その通り、空気を伝わる音の方は、僕がたたいてから、わずか一秒の八分の一ほどの時間で君の耳にとどいた。だが、鉄をつたわる音の方はこれより十五倍も早かったのだよ。およそ一秒に五千メートル走るんだ。